化学物質過敏症
2003年「環境白書」の文章です。
今日、推計で5万種以上の化学物質が流通しています。
また、わが国において工業用途として届けられるものだけでも
毎年300物質程度の新たな化学物質が市場に投入されています。
化学物質の開発・普及は20世紀に入って急速に進んだものであることから、人類や生態系にとって、それらの化学物質に長期間暴露されると言う状況は、初めて生じているものです。
日本に既に90万人くらいの人が発症しているそうです。
90万人と言うとそれほど多くないと感じますが、例えば日本人の苗字で「中村」と言う姓の人が大体90万人と言われています。
そうしてみると結構多いのではないでしょうか。
お知り合いに中村さんという姓の方は何名おられますか???
頭痛、眼が痛い、心臓がどきどきする、顔がほてる、関節が痛いなどなど不快な症状になります。
どうして化学物質に過敏な身体になってしまうのか。
もちろん個人差、遺伝子の違いはありますが、日常生活していて、食べるものから、着るものから、事務所や自宅の建物から化学物質はからだに自然に取り込まれてゆきます。
花粉症でも、言われていますが徐々に体に溜まっていき突如発症するといわれています。
コップに入った水を想像してください。
少しずつ歳を重ねるうちに、水面(化学物質)は嵩を増して行き、とうとう満杯になります。
表面張力で水は膨らんでいます。
そこにあとわずか一滴加わった瞬間、コップの外に流れ出します。
これが発症です。
それからと言うものわずかな化学物質に触れるたびに発症してゆきます。
梅干を想像しただけで唾液が出るように、イメージが先行して行きます。
臓器的にはどこも悪くなく、強いて言えば更年期障害か不定愁訴だと診断されてしまいます。
保険の適用も受けられず高額な医療費を自費で負担することになります。
とんでもない化学物質検知器が身体に備わってしまったということです。
その検知精度はとてつもなく高く、10億分の一の濃度と言われています。
ナノという単位の世界です。
小学校のプールは平均的に325立方メートルの水が入ります。
そこに小さじ一杯5ccの化学薬品を落として良く混ぜます。
1.6ppb(パーツ・パー・ビリオン)の濃度です。
その水を化学物質過敏症の人は感じてしまうのです。
化学物質過敏症の原因は
59%がシックハウス、
21%が農薬、殺虫剤、
8%が有機溶剤
その他が12%
という数字を北里研究所病院臨床環境医学センターの坂部貢先生が発表しています。
男女の比率では、圧倒的に多いのは女性です。
80%以上中高年女性と言われています。
つまりは主婦層ということです。
なぜかというと、新築住宅に住み始めて一番長く家の中にいるのは主婦と言うことになります。
女性がどうしてこれほど多く発症するのか考えてみると、やはり女性の体質が考えられます。
栄養分を脂肪として蓄える体質です。
人類の長い歴史のなかで、女性は栄養に恵まれない中で出産という肉体的にきつい義務を負っていました。
そのため、わずかな栄養分を吸収し易い体質になってゆきました。
この体質はそのまま化学物質に対しても発揮され、化学物質を吸収し、脂肪質に蓄えてしまったのです。
多くの化学物質は脂肪質に良く融けるのです。
この意味から女性には特に、化学物質が身体に取り込まれることがないように注意することをお薦めします。
シャンプーや化粧品、食品からも同様だといえるでしょう。
病院でこの体の変調を調べると一般的な病名に当てはまりません。眼に見えない相手との戦いですから、恐怖感が強くなり、なんでもないものでも反応するようになります。化学物質過敏症の人たちは、重症となると、日常の生活は出来なくなります。
「化学物質過敏症」は特に先進国に多く見られ、広がっています。